「一人では持てない冷蔵庫だけ、運ぶのを手伝ってください」
との依頼でした。
どうやら一人住まいの方。自分ひとりで全部引越しするようです。
その日、早朝の博多駅での仕事を終えて、私が到着したのは約束ギリギリの10時30分でした。
レンタカーを借りてすでに、一回運んできたところのようです。
部屋の中を見ると、まだまだ何回か運ぶ必要がありそうでした。 ひとりではけっこう大変です。
高さ2メートルほどの冷蔵庫を、二人で車に積んで、
「他にもまだ積めますから、一緒に運びましょう。もったいないですよ」と私が言うと、
「いえ、お願いしたのは冷蔵庫だけですから・・・」と依頼者。
「いや、いいですよ。別請求なんかしませんよ」
「いえ、大丈夫です。他は軽いものばかり、一人でできます。」
そんなやりとりをして・・・、それから転居先に、二人で冷蔵庫を据えて、作業終了。
「ありがとうございました」
と丁寧なお礼をいただいて、代金を受け取り、車で出ようとすると、
「ご存知かも知れませんが・・・、この道は右に曲がって、まっすぐ突き当たりを・・・」
と道案内までしたいただきました。
車が出るまで、見送りいただき、また丁寧に頭を下げて・・・。
依頼された仕事以外に、簡単なことであればサービスでやってしまうことが、よくあります。
冷蔵庫のついでに、他の物を運ぶことぐらい、サービスのうち・・・のつもりでしたが、
今回の依頼人は、「電話での約束どおり・・・」ということで終始しました。
さわやかな、律儀な依頼人でした。